オリジナルテープカッターの制作授業

2025年度9月~11月にかけて、女子美術大学付属高等学校 デザインコース3年生の授業課題を取材させていただきました。この授業ではジェスモナイトAC100を使ってオリジナルのテープカッターを制作しており、今回で6年目となります。

主な材料
・プラ板
・Jesmonite®AC100
・水性着色剤(Jesmonite Pigement/水性CWカラー)
・カラーチップ

それぞれがコンセプトを元にオリジナルデザインを設計し、プロダクトとしての実用性も組み込んで制作する。まさにプロダクトデザインの基盤が丁寧に時間をかけて行われています。

ジェスモナイトで作られたカラーフレークのチップ、作業環境の確立など、前年度までの試みや積み重ねがさまざまに感じられます。

型作り

まずは、それぞれがオリジナルのテープカッターのコンセプトを決め、デザインを考えていきます。
実際にプロダクトして販売した場合のターゲット、配置したい場所、シーンなどを設定し、コンセプトを練っていきます。

ここで大事なポイントとして、オリジナルの型を制作する前に既存のテープカッターを紙型で制作します。ホルダーの深さや、幅、カッターの高さなどを徹底的に測り、サイズ感を頭に入れる工程です。

事前に既存のものを再現することによって、オリジナルの型へのイメージ・精度が上がったように思うと、担当の藤原先生もおっしゃっていました。

▼紙で作られた型

紙型で既存のものを再現した後は、いよいよ自らデザインしたいものの設計に移ります。完成形を紙で立体制作し、それらを展開図にします。
展開図となった紙型を元に、実際に流し込むための型をプラ板で作成していきます。

以下は、展開図で作った型を組み立てたものです。

ホルダー部分をどこにするか、流し込みはどこからするかを考えながら、型が考えられていきます。
パーツが細分化している人も多くみられました。

この授業で使用するプラ板型は、硬化後にはすべて剝がして脱型する、使い捨ての型になります。
また、内側にテープを使用しすぎると脱型時の食いつきも懸念されます。各々のオリジナルデザインを元に、いかにシンプルに形にしていくかもポイントでした。

それぞれの独創的な形が出来上がっています。

注型:ホルダー部分

テープカッターのデザインによっては、ホルダー部分が必要ない人もいます。
ですが今回の授業では、まずジェスモナイトの使用感に慣れるため、みんなでホルダー部分の型を作り注型しました。

いきなり大きなものを作るのではなく、手のひらサイズの流し込みをすることで、着色の調整や硬化までの時間を体験します。

マーブル模様やテラゾなど、本番で表現したいことのテストとして試行錯誤する人も。

授業課題に取り組む生徒さんの中には、普段は立体制作をしない人も多いそうです。
それでも、普段は触れることのないジェスモナイトの制作を楽しんでくれた方が多く、テープカッター本体に合わせて様々なデザインの考案が見られました。

注型:本体部分

いよいよテープカッター本体の流し込みです。

型の制作時からも分かるように、形は様々。
ひとつの面を開けて一気に流し込める場合もあれば、注型口が広くない・複雑な形状をしている場合は、慎重に注ぐ必要があります。

また、自立が安定しない型には固定が必要です。

全体に行き渡るように型を傾けて慎重に。
使用量はそれぞれ異なりますが、量が多い人は複数回に分けて流し込む場合もあります。

型の形に合わせて、流し込む際に水平になるような工夫もされていました。

仕上げ

脱型したものには、はみだし部分やバリがあります。
サンドペーパーで余分な個所を削るなど、形を整えていきます。

ホルダーをひっかける部分が狭すぎないかなど、使用感も試しながらの仕上げになります。
また、細かくパーツが分かれている人は接着の作業もしていきます。

完成作品

見慣れた形を応用したシャープな佇まいもあれば、一見テープカッターには見えない丸形も可愛いですね。

▼今回は黒を使用する人が多くなかったのですが、やはり重量感や締まりがあってかっこいい印象。

▼垂直にテープを引っ張るデザイン!要塞のようです。

▼ホルダー部分のフォルムも活かしたデザイン。

▼こちらは色の境目が淡く、綺麗な仕上がりです。

▼「サ」。文字の形とのマッチが見事ですね。

▼こちらも型の段階から大作業でした。無事、どのパーツも上手く流し込むことができたようです。

▼波の形と鮮やかな色で、華やかな仕上がりです。

▼こちらはなんと、磁石で2パーツをくっつけたデザイン。


▼どこか海を思い出す仕上がりです。これもまた、小分けになったパーツがどれも上手く仕上がって組み立てられています。

以上は2025年度制作の完成作品です。
また、前年度の2024年も完成品を見せていただきましたので、ここで一緒にご紹介します。

▼こちらは「お店の雰囲気を守る」をコンセプトに、古着屋さんをイメージして作られたテープカッター

▼シンプルな空間に調和する、ブロックチェック。

▼くるりんとしたフォルムが可愛い、オブジェのような仕上がりです。

▼こちらは小さな子どもが使うことを想定して、テープは上から入れるだけ、カットする刃の部分も下を向いていて安全に目を向けた設計となっています。

授業コンセプトにもあるように、テープカッターはそのデザインの自由度を楽しむだけでなく、プロダクトとしての実用性を伴うことが課題となります。
使用する際の安定感、刃を取り付ける角度など、本来の機能を保ちながら設計することはとても難しかったと思います。
ですが型を細かく設計し、流し込み作業を見据える緻密なデザインから、多様でユニークな作品をたくさん見ることができました。

またこの課題授業は、以下のようなスケジュールで行われています。
1学期:既存ホルダーの測定、再現。オリジナルデザイン、型枠作り。(計約12時間)
2学期:型枠の最終チェック、流し込み、磨きなど仕上げ作業。(計約10時間)

しっかりと時間をかけて着実なステップを踏みながら理解を深めることで、複雑な工程を経てオリジナル作品が完成しました。普段使いするものとしての機能美を追求をしながらも、造形的な美しさも盛り込むという、まさにプロダクトデザインの重要な課題です。

6年間継続されてきたことによって、担当される教員の方による授業計画の改善も繰り返され、より深く取り組むことができる形が確立されていきました。
ぜひ今後もこの授業が続き、新たな作品が生まれていってほしいと感じます。

女子美術大学付属高等学校の皆様、今回の授業担当をされていた藤原先生、ありがとうございました!